2004.5.21 CHILDREN
下北沢の本田劇場へJOE Companyの「Children」を観に行ってきました。
この舞台は、清水拓藏さんが出演するというので最初にチラシを見た時に気になっていたもののしばらく忘れていて、その後ネット上のニュースで小野寺昭さんが学生服姿で出演するというのを見かけてはっと思い出して予定組んだものです。
(ちなみにそれは舞台の製作発表のニュースで、山田まりやさんは2歳児になるけどコスプレじゃないので客席がマニアの人ばかりになっては困ります……っていう話の方がメインだったような。)
「殿下」(もちろん「太陽にほえろ!」のですよ)が高校生で清水さんはチラシの写真から察するに小学生だなっ(麦わら帽子で虫取り網持ってた)と思って行って来ました。
作・演出はJOE Companyの小野寺丈さん。
今井さんのお芝居にも出てました。2002年の「MAKOTO」で見た事のある役者さんです(「MAKOTO」の観劇レポ、初演の方が良かったなーというのも手伝って書かずじまいになってしまいました、すいませーん)。
取り壊しの近い廃校になった小学校の音楽室には設計ミスで「開かずの扉」があったのだけれど、そこが開いて、そこから○○年(20年位?)前の「あの日」に行けるという話。
知識と精神は現在のままで身体は子供の当時に戻ってしまい、代わりにその過去の自分は現代に来てしまう。
現代に来ている子供の方はほっぽって、過去に戻った大人達を話の中では追っていくのですが、過去に行った人達は大半が過去に何か問題を抱えています。
小野寺昭さん演じる「徳さん」は現代では年配の人なので過去では高校生です。で、他の人達と同年代の妹が小学校に通っています。
サラリーマンだった人達が子供にかえっていきなり服がぶかぶかに(同じ色・生地で巨大スーツを作ったらしい)なってしまって、過去の自分の家に帰って子供の服を着ないといけなかったりしたのに対して徳さんは「目の前に学生服があったので」反射的にそれを着てしまったらしい(^^;)
同級生の太地(小野寺丈)と多門(清水拓藏)と尚人(石橋保)と亮一(AKIRA)、この方達本当に同じ位の歳だったんですね。
見ている時は同い年って無理があるんじゃないか? と思ったのに(^^;;;
多門は当時兄が事故で植物状態になってしばらくして死んでしまったので、その事故を防ぎたいと思っていて、尚人は長い植物状態の後に奇跡的に回復した直後で昔の記憶がなく、かつての恋人だったという美穂(山田まりや)に話を聞きたいと思ってやはり過去に戻っている美穂を追って過去に来ました。美穂はもう少し年下で、過去では2歳児なのです。走ってしゃべりまくる驚異の2歳児と化してました……。
植物状態の尚人のために美穂の人生を狂わせたくないと、尚人の母が転院して行方をくらまし、引き離されてしまったので美穂には現在他に婚約者がいます(しかもなぜかその相手も同じ小学校。関係者全員同じ町内に住んでいる……)。
亮一は子供時代は病弱で病院から動けないはずなのに、すっかり元気になった大人の彼が子供になってるだけなので病院を脱走(ちなみに亮一の主治医が多門の父親)。
太地は現代では小説家を目指して父親と不仲。
徳さんの妹は子供の頃に心を病んでしまって、いつも幻のひまわりを見ているのですが、徳さんはその原因を知りたいと思っています。
話が進んでいくうちに、多門の兄が付き合っていた相手が徳さんの妹だという事が判明。
そして両親の話を陰で聞いて亮一には(当時認められていなかった)心臓の移植手術以外助かる道がないと知って、植物状態から突然兄が死んでしまったのは、父親が極秘裏に兄の心臓を移植したのではないかという疑いを抱き、過去の世界で兄が事故に遇うのを防いで友達を見捨てるのか、友達を助けるために兄を見殺しにするのか悩みます。
小学生の時にみんなで校庭に埋めたタイムカプセルを、植物状態だったために一人受け取っていなかった尚人が、一時的に過去に来た可奈絵(最所美咲)から受け取ります(そして可奈絵は現代で、彼らの代わりに現代に来てしまっている子供の彼らの面倒を見てます。高校生の徳さんは若くて爽やかで太陽に向かって吠えてたそうな……)。
自宅でそれを開いた尚人は自分の入れた手紙の代わりに、後に母親が入れておいた手紙を発見します(代わりに受け取った母親が自分の手紙を入れて、目覚めた尚人の手に渡る奇蹟のような確率に賭けて埋めたようです)。
そしてそれが、尚人の入院費と治療代にお金を使い果たした母親が、自分の保険金でその穴を埋めるべく自殺した遺書だと知ったのでした。
何があっても負けずに生きていけという母親の言葉を胸に、現代に戻ったら美穂と生きていきたいと告げる尚人に、婚約者のいる美穂はこのまま過去に残りたいと言います。ずっと待っていれば尚人が植物状態から甦ると知っていれば絶対に何があろうと待っていられるからと。
辛い事があっても今の自分なら受け止めてみせるから現代に戻ろうという尚人に、美穂は少し考えるから先に行っていてと、先に帰らせます。
現代で校舎が壊されるので期限は切られています。
プレゼントするひまわりの花を自転車のカゴに入れて徳さんの妹の所に向かう多門の兄に、なんだかんだ言いながらついていく多門。
踏切の向こう側に、帰宅途中の徳さんと妹が現れます。
「早くおいでよー」と手を振る妹。
そして───
場面は変わって、現代です。
(あ、他の人のエピソード省きました……。)
結局、歴史の通りに事は進んだようですが、妹が壊れてしまった原因はそこにあったのだと徳さんは知ります。
「ひまわりが降ってくるよ。きれいだねー」
永久に子供のままの方が幸せなのかもしれない、と徳さん。
多門は、元気に登場した亮一の胸に反射的に手を伸ばします。
法で認められておらず、父が隠していたのでこれまで知らなかったけれど、そこには死んだ兄の心臓がある。
太地は病気の父親と和解して、そして尚人は泣きじゃくる女の子を見つけます。
過去に残る事に決めてしまった美穂の代わりに、未来に放り出された過去の美穂。
自分が植物状態の間、美穂は尚人の「お母さん」だった。
今度は僕が「お父さん」になる、と尚人は小さな美穂と共に生きていく事を決める……。
ちなみにそうすると、大人の美穂は失踪扱いになるんでしょうかね?
現代の大人が過去に行くと肉体は子供に戻るけれど過去の子供が現代に来ても肉体は子供のままらしい。
でもベビー服姿じゃない最後のシーンの子供服の山田まりやは可愛かったなあ……。
(はっ、だからマニアが来ると困るのか!?)
ストレートプレイだと思って行ったので、タップダンスで始まった時はびっくりしました(でも後は普通にストレートプレイ)。太地の父がタップ好きで町内で教えているということみたいです。
現代から過去へと開かずの扉を開けて過去のシーンが始まるまでの間、舞台に白い幕が下りてきて、そこに曲付きでタイトルや映像が映し出されて映画やドラマのオープニングみたいでした。ちなみに映像はキャストの皆さんの子供時代の写真など。名前出してくれてなかったら絶対どれが誰だか判りませんね。
話は面白かったですよ。ちょっと感動したし。
でもなんとなく随所で「さあここで泣きなさい!」みたいなあざとさを感じてしまったのですが、私がひねくれているのでしょうか……。
殿下は太陽にほえてくれました。サービス?
生で小野寺さん見られたし、先月やった清水さん主演の舞台観られなかったけど今回は観られたし満足(^^)
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