2003.11.13・15・16・18  砂の戦士たち

まずはじめに。
なんかあまりにも舞台が盛り沢山で、やたらとこのページ他の観劇レポより長いです。
これでも短くカットしたので、この長さで勘弁してください……。
基本的には最初に見た後帰り道で友人たちに送った携帯メール、
タイトル「今日の駒田さん」本文「超かっこいい……(・・*)」(原文のまま。これで全文)が全てを物語っているような気がしますが。
それ以上の中身は下記参照(^^;)


CAST 劇団 砂の戦士
石川禅 神山 ペドロ・バラ
駒田一 黒藤 ボルタ・セカ
平沢智 保川 センイ・ペルナス
本間憲一 木村 ジョアン・グランジ
吉野圭吾 井坂 ガト
坂元健児 睦田 ボア・ビダ
横田栄司 寺田 プロフェソール
伊織直加 千島 ドーラ
川本昭彦 守島 ピルリト
福永吉洋 広瀬 グリンゴ
幸村吉也 河原 アルミロ
縄田晋 関口 バランダン
阿部よしつぐ 竹林 エンリケ

TSミュージカルファンデーションというところの公演に駒田さんが出演されたので、観に行ってきました。
劇場は池袋のサンシャイン劇場です。
15・16の土日で3回だけ観るはずが、気がついたら全部で5回観てました(^^;)

この舞台には今年の「レ・ミゼラブル」に出演していたプリンシパル三人とアンサンブル一人が出演しています。
劇場に入ると、ロビーにレミゼで共演していた岡田浩暉さんや別所哲也さん(別に連名じゃありません)から駒田さん・吉野さん・坂元さんそれぞれにお花が届いていました。
TSという、ここの舞台は私は初めて観たのですが、13人のキャストのうち見た事のあるキャストが9人いました。なので見所が色々で楽しかったです。

これはジョルジェ・アマードというブラジルの作家の小説「砂の戦士たち」を舞台化する小さな劇団の話で、劇団での話とその劇団で演じる「砂の戦士たち」の舞台とが交互に入り交じって演じられます。
そんな訳で中身が二重構造になっていて、劇団の役名と舞台の役名と本名(というか芸名か)とで紛らわしいので上に表作ってみました。
全員覚えなくても話は判りますが(砂の戦士の年少組とか)。

「砂の戦士」というのはブラジルの、捨てられた子供達が港の倉庫に集まって暮らしている集団で、盗みや物乞いなどでなんとか生活している少年たちです。
始まると、最初ちょっと寺田(横田さん)のモノローグが入りますが、いきなり砂の戦士たちの激しいアクションが続きます。
この目まぐるしく舞台で人が入れ代わり繰り広げられるダンスがかっこいいのです。
どこかから木箱ごとオレンジを盗んで逃げていったり喧嘩したり、警察(や大人達)から逃げたり。ここの息もつかせぬダンスで一気に舞台に引き込まれます。
ここのダンス、駒田さんはじめ皆さんものすごくかっこいいです。
そしてそのままペドロ(石川さん)とボルタ・セカ(駒田さん)の決闘。
リーダーだったボルタがペドロに負けて、ペドロが砂の戦士たちのリーダーになります。

神山(石川さん)は劇団の前主催者(故)に劇団を託された熱い人。
ペドロも同じく熱い人。
どの役も劇団と舞台とは逆の性格に作っているとのことでしたが、正反対といった感じではなく、立場とか考え方は違ってもなんとなくトーンは同じ感じがします。
確かに違うんだけど少なくとも逆じゃないです。
特にペドロ・神山とプロフェソール・寺田。

これが劇団と舞台とでがらりと変わるのは駒田さん。
ボルタ→黒藤→ボルタ→黒藤…(以下省略)…というこの切り替えが鮮やかです。
山賊に育てられたボルタはペドロに負けてリーダーの座を奪われて、ペドロに従ってはいるものの、生来の気性の激しさと考え方の違いで反発し、しばしば揉め事を起こしたりします。
でも普段は年下の弟分たちにも笑顔を見せたり、自分の煙草回してあげたり、一緒に歌っていたり、優しい所もあるのです。
歌は(ソロは)少ないですね。ちょっと淋しい。
でもいっぱい踊ってるので久々に駒田さんのダンス観られました。嬉しいです(^^*)
「レ・ミゼラブル」終わってから髪を切って、あの位の長さの髪だといつも茶髪(そんな金色じゃなくてあくまでも茶色)のイメージが私の中にある駒田さんの黒髪がなんだか新鮮。
銃だのナイフだの持たせてキレた目させたらほんと彼の右に出る人はいないなあ……。
これにやられるんだよなあ、ファンは……(つぶやき)。


劇団では黒藤という、ちょっとオヤジ入ったキャラです。
古参の劇団員という感じですね。
神山が主催者で、その下で演出助手として細かい手配を色々やってるのが木村(本間さん)。
黒藤は木村よりも立場的には上ですが(神山の同期だそうです)、そういう面倒な事とか責任のある事はやってません。でもきっちり劇団の事は考えてる男。
「自分に自信がなかった」という神山に「どうしてもっと俺達を信じてくれなかったんだよ。俺はお前を信じてたよ。…(略)…どうしてもっと自分を信じなかったんだ」と言います(台詞正確じゃありません)。
おさえるべき所はおさえてる男。ここの台詞好きだー。
それでもって、劇団員の名前を全く覚えない男(^^;)
「河原」を「笠原」と呼んだり、「睦田」を「つのだ(?)」と呼んだり、「守島」を「もりやま」とか、挙げ句の果てには「河原」が「ジョニー」とか「エリザベス」とか「アレキサンダー」になり(この辺日替わり)、「守島」は「綾小路」とか「武者小路」や「武者小路実篤」になってそんなの覚えるなら「守島」を覚えろと反撃される始末。
劇団の方は内部崩壊寸前で空気が重いだけに、駒田さんや河原役の幸村さんにとても救われます。「笠原は僕の友達です!」は笑いました。>河原
ちなみに黒藤さんは毎日にんにくを食べてて臭いと言われまくってます。
体力を付けるためにマイにんにく(チューブのおろしにんにく)を持ち歩いてる人です。
実際には食べてない、筈(笑)
「女豹のポーズ」改め「生まれたての子鹿」(これも日によって違ったりする)も面白くて好きでした。一度は神山さんに「大丈夫?」と言われてた(^^;)

他のキャストの皆さんもとても良かったです。

河原&アルミロの幸村さん。
今回の舞台で初めて見た役者さんです。
アルミロは砂の戦士たちの中でも年少の子の一人で、ペドロ達年上の少年の庇護を受ける立場なのでしょうか。巷で流行している黒い天然痘に掛かり、死を迎えます。
(その時のボルタがまた胸が痛む……。)
「アルミロが死んだ!」というボルタの叫びを聞く度に何故か「ラ・マンチャの男」でのサンチョの「旦那様が死んじまった!」という叫びを思い出してしまったのですが。

保川&センイ・ペルナスの平沢さんは基本的にタップとかダンスのイメージがありますが、そういう舞台とは別に絶対前に駒田さんと共演してた筈……としばし思い巡らせ、(あ、ライサンダー!)と思い出しました。
「ミッドサマー ナイトドリーム」で共演しています(その時駒田さんはパックでした♪)。
初めて見た時は「自殺」にびっくりしました。
大人から受けた暴力によって片足を引きずって歩き、周囲に憎まれ口を叩いて自分の存在を確認する、本当は繊細な少年。
「俺に優しくするな!」という吐くような叫びが心に残ります。

坂元さんは私これまでレミのアンジョルラスでしか見た事がなかったので、こういう歌い方もするんだーと思いました。
天然痘に掛かって(最初に発症したアルミロに触ったからだと思うのですが)自発的にみんなで住んでいる倉庫を出て隔離所へ行くのですが、その時のボア(坂元さん)とプロフェソールとのシーンは非常に感動的なシーンです。
舞台で描かれない部分でボアは病気を克服してサンバの王様になるそうです。
劇団では筋トレ王です(笑)
最初に寺田が劇団に来たとき腕立て1,000回やって驚かれます。
でも日によって「1,000!」と終わる時と「あ、だめだ」と潰れて終わる時とあります。
坂元さんと吉野さんが二人で話していたり(バーベル片手の陸田とノートパソコン膝に置いた井坂)すると、アンジョルラスが並んでるなーなんて思ってしまうのですが、多分私だけじゃないですよね?

女好きのガト(吉野さん)は、ジョアンとプロフェソールがドーラ(伊織さん)を連れてきたとき、二人が彼女を攫ってきたのだと勘違いしてボルタと二人で喜ぶのですが、この時の二人のはしゃぎようといったら(*^-^;)
ダンスかっこいいですね。劇団の振付担当。

本間さんは私いつもショーとかライヴばかり見ているので、芝居している本間さんを見たのは初めてのような気がします。新鮮。
プロフェソールに相談持ちかけようとして、そのきっかけ作ろうとして絵を描いているプロフェソールの所で煙草のケース(?)カンカンと落としては拾い、拾っては落とししていたジョアンが可愛かったな。

川本さんのピルリトは心の拠り所を神に求めてる子です。
アルミロが天然痘に侵された時、これは神様の罰だ! と歌います。
「盗み略奪強姦 そんなことを繰り返して生きている僕らへの罰」(これも歌詞正確じゃない筈ですが)って、強■もしてるんかい、お前ら……。
いや、だから最初にドーラ見て喜んだんだよね。

いつもパン食べてる広瀬(福永さん)。
彼も初めて見た役者さん。
河原に「ぴちぴちジャージ」とか「身体に合ったジャージを着ろ」とか言われてました。歯を磨かない男(爆)
河原の実家が高知と聞いて「九州か」と呟き、竹林(阿部さん)に「四国です」と突っ込み入れられてました。
河原の父親が倒れて彼が実家に帰らなくてはならなくなった時、「これ帰りのフェリーで食べて」と自分のパンあげてます。回によってフェリーが新幹線や飛行機になったりしました。
私が見た中では一度そのパンがメロンパンナちゃんで笑った(その前に自分でアンパンマン食べてた)。
ジョゼ神父も、福永さんでした……よね?

話は……熱いです。
なんというか、神山さん&ペドロ、熱い……。
私としてはちょっと退いてしまう。
石川さんよりこれは脚本のせいなんでしょうが。
父親が倒れて田舎に帰った河原を「必ず帰ってくると信じている」って、それはあなた、彼を信じて彼が帰りたくても彼の親が帰してくれなかったらどうしたって無理なんだから……と思ってしまう私(帰ってくるんだけどね)。
未来を信じるペドロと、頑に劇団員を信じようとする神山のそれぞれの熱さが、貧しさと幸せに飢えた少年たちやまとまりのない劇団員に必要なのでしょうが、それを一身に引き受けた石川さんは損してると思う……。

色々揉めながらも集団生活を続ける砂の戦士たちの舞台を作り上げる、劇団の方はばらばら。それをまとめようとする神山自身が自分の力量に疑いを持っている。それに対してペドロは基本的にみんなに慕われていますが……。
最終的に劇団を神山の元にまとめるのは客演として来た寺田であり、砂の戦士たちをペドロから自立して己の人生を開拓していかせる(自分の意志でペドロの元に残る者達は別として)のがプロフェソールなんですね。
名前一番上じゃないけど主役はプロフェソール=寺田かもしれない。

最初の方では砂の戦士たちの時は皆揃いの(完全に同じではないけど)、ジーンズをまだらに染めてどこかしらに赤い十字架を書いた衣装で、劇団の時はジャージとか運動しやすい格好。
そのうち砂の戦士の格好でも劇団のシーンに戻ります。全員帽子被っているのですが帽子取った瞬間に素の劇団員の顔に戻ってる。
劇団のシーンでは歌はあるけど踊りはほとんどない(稽古シーンでほんのちょっとだけ)のですが、砂の戦士たちの方はドラムあり、踊りもあり、歌もあり、踊りにはカポエィラを取り入れてあったり、とにかく見所満載です。
カーテンコールでもカポエィラとスルドドラム披露してくれて、通常のカーテンコールより豪華で楽しいです。
今回見ていない方は再演を是非見て欲しいです(いや別に再演決まってないけど)。
ダンスだけでも見る価値がありますよ(^^)

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