2000.12.27・30・2001.1.3  キャットフード

年末年始「キャットフード」を観ていました。
他にも出演者はいるけれど、基本的に駒田はじめさんのヴィトと、鶴見辰吾さんのジミーの二人だけで進む話です。
四年前の初演の時は駒田さんがヴィト、森田順平さんがジミーで、駒田さん以外のキャストは全員違います。当時の演出家さんも亡くなってしまいましたし。
生の駒田さん見るのが9月以来ってことで、久々でどきどき。
初日、パンフレットを買って客席で開いた時点で稽古場写真にボーッ(..*)と見入ってしまいました。

(あんまり売れない)俳優、ジミー・ズールの家にヴィトが泥棒に入り込むところから話は始まります。
誰もいない部屋の窓を外から開けて「ごきげんよう」。
それから窓の下のベッドに降りて部屋の中に入り込みます。
これ、確か初演では天井からすーっと降りて来て、「いっちょやったるか」で始まったと記憶しているのですが、家具の位置なども初演とは多少違いましたね。
余談ですが、「駒田さん的おみくじ」のヴィトの台詞を「いっちょやったるか」で作ってしまったので、これを見てどうしようかなーと思ったのですが、変えるのももったいない気がして、もう一つ作っちゃいました。
というわけで、おみくじの結果はヴィトが二つあります。よろしければお試しください(^^)

ごそごそと部屋の中を家捜ししていると足音が聞こえて来たので慌ててヴィトはタンスの中に隠れます。帰って来たのはジミーの恋人のケート(八重沢真美)。
ケートはジミーと別れて家を出ていく為に、荷物を取りに来たのです。
そこに犬猫病院から電話がかかって来てジミーの猫が死んだことを知らされ、彼女はジミーに宛てた別れの手紙と一緒に追伸として「あなたの猫は死にました」と残し(この「Ps Your Cat Is Dead」が原題)、バスルームの方にある化粧品などを取りに行きます。
その隙にケートの毛皮のコートやら何やら持ってヴィトが出て行こうとすると、ジミーが帰って来て、今度はヴィトはベッドの下に隠れます。
ジミーとケートのやりとりがあって、最終的に喧嘩をしてケートが出て行った後(その合間にもこっそりジミーの酒を気付かれないように飲んだりしているヴィト(^^;)、ジミーがヴィトの置き忘れた拳銃を発見し、芝居の役を下ろされたり、ケートに出ていかれたり、口うるさい伯母さんの電話に苛々しながらジミーが引き金をかちかち引いていると一発だけ入っていた玉が発砲されて思わずヴィトがベッドの下から現れるんですね。
逃げようとするヴィトを殴り倒して流し台の上にうつ伏せに寝かせて縛りつけ、ジミーは過去にもヴィトに小説の原稿を盗まれたりしているし、ヴィトは縛られるしジミーに何されるか判らないしで反発の連続。
二人の怒った言い合いはかなり迫力。
この調子で駒田さんに怒鳴られたらすっごく怖いと思ってしまった。
そういうことを考える事自体普通しないと言われましたが(^^;)
逃げ出す口実にヴィトが「ション〇ンしたい」と言ってもジミーは「ちょうどそこは流しだからそこでしろ」と取り付く島もない。
縛られたまま服の中におもらしなんて出来ない、というヴィトにジミーは考えてヴィトのズボンもパンツもはさみでじょきじょき切って窓から捨ててしまうんですね。
「ション〇ンしたいなんて嘘だよ」と慌てて言っても聞かないし、ジミー…。
そんな訳でそれ以降ヴィトは流し台の上でお尻むき出し(^^;)
公演3回見ましたが、結局お尻の刺青の柄が何だか判りませんでした。
よく見えない位置だったので(私の座った席が)。
でも「この顔覚えてるわよー」などと言われていたので何かの顔だったのでしょうか……。
同じ小説をもう一度なんて書けないので、ネタを得る為にジミーはテープを持ち出してヴィトに色々喋らせるのですが、ヴィトの経歴というのもなかなか……。
九つになる娘がいて、離婚してて、売春まがいのことしてて付き合っていたの人には死なれて、その後捨て鉢になって泥棒とかするようになったそうで。
「基本的理念としては、愛さずにいられないよな。俺の子供だぜ」と言う時のヴィトが優しい顔をしてるんですよ。ふわーって。
「基本的理念としては」というのがヴィトの口癖。
あと「一服吸わせてくれなきゃ喋ってやんない!」とテープを止めてしまって自分のバッグをジミーに持って来させるのですがドラッグ(煙草型の)吸う時のヴィトの顔も、なんとも言えない顔してます。
見てると「ヤクやってんなー」って表情です。
大部分でヴィト身動き取れない(縛っていた腕だけは途中でほどいてもらったけど)のですが、声音とか細かい動きや表情がすごくいいんですよね。
ヴィトに勧められて吸ってみたジミーの壊れようも面白いです。
そういうことがあったり、様子を見に来たケートとそのボーイフレンドを二人で恋人の振りして追い返したり、ジミーの友人達(知人かな?)3人に翻弄されつつ(ゲイのクレイジー・カーミーヌはヴィトをゲイバーで見たことあると言ったけれど((「この顔覚えてるわよー」))、ヴィトは「俺も覚えてるよ、女装した男と連れ立ってんの見たよ」と切り返します)、ヴィトの玉の入っていない拳銃で脅して追い返したりして最終的には妙な連帯感というか友情が芽生えます。
駒田さん、あんなに隠語の連発してるのに可愛いのは何故だろう(^^;)
一番ソフトなところで、「どう違うのかなあ、『夜の餅つき』と『〇マ堀り』」…「どっちも似たりよったりだ」。
初演一回しか見ていないのでうろ覚えですが、どうも初演の時よりもヴィトが明るく可愛くなったように見えて仕方がないです。
こっちのほうが好きですねー、私は。
これはストレートプレイなので(おまけに大半ヴィトは縛られているので)歌も踊りもないですが、でもこれ面白いですよー。
年末年始だけやっていたので空席がちらほら目立ちましたが、本当に勿体ない。
どんなに年末忙しくとも見なきゃいかーん! という感じのお芝居。
また是非再演して欲しいお芝居です。

TOP
HOME