シアターVアカサカに天狼プロダクションのお芝居「キャバレー」を観に行ってきました。
これは栗本薫の小説「キャバレー」の舞台化です。
16年前に映画化されたそうなんですが、私は見てません。
(そんな、小学生の時に見ませんて)
内容は原作を読んでいただければいいかと……。
最近ハルキ文庫から再文庫化されました。
チラシ・パンフレットと同じイラストの表紙になっています。
一番良かった(凄かった)のは、場末のキャバレー「ブロードウェイ」のNO.1ホステス英子(花木佐千子)のストーカーと化していたボーイの山辺(小川潤)でしょうね。
ほとんど喋ってないのにブキミ。
無表情で英子さんだけ目で追っかけてます。
最後の方のキレ様も素晴らしかったですわ。
原作ここまでコワイ人じゃなかったんですけど。
あと出演者はヤクザの代貸滝川さん(水木竜司)、その弟分黒田(中山浩)、ダンサー志望の少年・矢代俊一(原田優一/原作はダンサーじゃなくてサックス奏者でした。フルートも吹いてたな)、英子さんを追っかけ回す若頭、狂犬・松村(佐藤和久)、松村の情婦・ブロードウェイのホステス茜(榛名珠利)、ブロードウェイ支配人(鈴木良一)などなど、です。
支配人はオネエ言葉で面白い人でしたね。
英子は松村に追い回されて逃げ出すために俊一を誘惑したのですが、それを山辺に見られて、「私にもやらせてくださいよぉ」とブキミに言い寄る山辺に捕まったところを滝川さんに助けられ(黒田に蹴られても蹴られても「英子さぁん」とにじり寄り、英子の脱げたサンダルに頬ずりする姿が一層不気味な山辺……)ますが、別に松村から逃れられるなら俊ちゃんじゃなくてもいいのとばかりに滝川に英子が言い寄るのを滝川はすげなく追い払います。
俊一に目をかけている滝川は俊一が汚い事に利用されるのが許せなくて、英子の借金を肩代わりして街から出て行かせようとしたのですが、黒田は滝川に心酔していて、俊一の為にそこまでしてやる必要はない(ってことでしょうか)と二人になったところで英子を殺してしまう。
英子の死体が見つかって怒り狂った松村が組を抜けて滝川・黒田・俊一を殺そうと乗り込んできて(それについてきた、顔半面血の滲んだガーゼ当てて狂ったように笑う山辺が怖い)……という話。
場末のキャバレーを舞台として、愛憎の中で成長していく少年の物語でしょうか。
主役は……誰だったんでしょう。
原作の主役は矢代俊一なんですが、舞台ではちょっと弱いと思うし、滝川さん、にしてはなんか違う気がするし……主役不在でしょうか。うーん。
今回の舞台はジャズが色々歌われていたのですが、音楽関係疎いんで知っている曲ありませんでした。勉強するべき?
エンディングは青白い舞台に白い衣装を着て(最初いたのは舞台上で死んだ人ばかり)静かに歌(「モーニングライト」)が始まり、あの雰囲気は好きだなあ。綺麗だし。
松村の白に近い金髪が青白い光に綺麗に浮かんでました。
私としてはもう一押し何かが欲しかった舞台でしたが、ジャズが好きな人はもっと楽しめた筈。ちょっと残念。