1999.12.31  THE WINDS OF GOD−零のかなたへ−

今井雅之さん率いるElle Companyのお芝居で、今回はN.Y.凱旋公演。
しかも、31日はカウントダウンありだったのです。
どうしてもどうしても行きたくて、あらゆる友人を誘いまくった結果、当日になってやっと友人Kが来てくれることになって、当日券で行って来ました(だって、カウントダウンで盛り上がるであろう日に、一人で行くのはちょっと淋しい……)。
場所は新宿のSPACE ZEROです。私にとってお初の劇場。
以前にも観た事がある芝居なんですが、観る度に涙してしまうんですよ。
ストーリーは、現代の漫才師の二人が交通事故のショックで1999年8月1日から1945年8月1日の海軍にタイムスリップしてしまい、二人のそれぞれの前世である特攻隊員の身体に魂だけ入ってしまう、と言う話。
二人は最終的には出撃して行くんですが、そこにいたるまでの過程が感動を呼ぶんですよね。
というか、奥が深過ぎて私には気のきいたこと書けないんですが、でもでもこの芝居好きなのでちょっとだけ……。
熱い芝居です。人間馬鹿やってちゃいけないと思います。
特攻隊の人たちがみんな一生懸命生きてるんですよ。
その真摯な姿に心打たれます。

飛行機の操縦など出来ないはずの二人が初めて空に飛び立つシーンはとても綺麗でした。
スモークが下方にたかれて、空を飛んでるなあ、と言う感じ。
前は確かスモークたいてなかった筈。何だかすごく印象的でした。
(身体は特攻隊員のものですから、操縦の仕方を体で覚えてるんですね)

あと、最初の空襲の時に舞台後方から客席に向けてカッとライトが光るのも、前はこういう演出じゃなかったと思います。これもとても印象的、というか爆撃というのが意識に残る感じでしたね。あ、場面的には空を飛ぶとこよりこっちの方が先です。

出撃する前の山本少尉に、キンタ(松本リス)に返しておいてくれと渡された福本少尉(キンタの前世)の妹の写真を見て、福本少尉の妹の子供がキンタだということが判るのですが、キンタは特攻に志願することにした彼を「御国のためか」と責めるアニキに「母ちゃんを守るためだよ」と言って譲りません。「僕を産んでもらう為に」と。
アニキは蘇りつつある岸本中尉(アニキの前世)の意識との葛藤に「アニキもう疲れたよ」、「この命は彼らのものだ、だから元の彼らに返そう」と、共に出撃することを決めるのです。
今回、台詞というかその時の人格が前回までの公演と違ってました。
前は「キンタ」が喋っていたんですが、今回は「福本少尉」が喋っていたんです。
だからこの時彼は今井さんを「アニキ」ではなく「岸本中尉」と呼んでます。
今回の凱旋公演の、今までとの最大の違いがこれではなかったかと思います。
私はこれはこれでいいとは思いますけど、キンタが消えてしまうのはさみしいなあ……。
何だかここで私、周りに人が居なかったら号泣したくなりました。

このシーンのすぐ後に(そして、その日は終戦のその日。8月15日なのです)二人は出撃していき、その後、アニキは現代の8月15日の病院のベッドで目を覚まします。

満場のスタンディングオベーション。
「前の席の人が立ってしまったので舞台が見えない」から立つ、ことが過去になくもなかったのですが(「THE WINDS OF GOD」じゃないですよ、もちろん)、素直に立って拍手できることはとても幸せだなあ。
うーん、でも欲を言えば看護婦役の山下さんにはもうちょっと頑張って欲しかった……。


終演後休憩があって、その間に観客にクラッカーが配られ、全員でカウントダウンが行われました。芝居の余韻に浸りたい人はこのあと崩れるので帰って下さいという休憩前の前置きがありましたが、ほとんど帰る人いませんでしたね。
2000年の到来と共に劇場中にクラッカーの音が鳴り響いて素晴らしかったです。
(やっぱり掃除大変ですから、観客に配られたのは音だけのやつですね。役者さん達のはテープ飛んでましたが。)
「千年に一度」の日を舞台上で迎える事は「織田信長にも出来なかった」んですよ、と今井さんおっしゃってました。
もう、そのあと松嶋少尉役の清水さんと寺川中尉役の矢田さんはサルの着ぐるみを着て出て来てトークを繰り広げる、ファンに小道具やサイン入りポスターなどのプレゼントが贈られ、松本リスさんと今井さんは歌う(カラオケなどでなく人前で、舞台上で歌うのは初めてだそうです)、といった感じで盛り沢山でした。
今井さんかっこよかったですよ。
9時に開演して、終わったのが1時。
ロビーで振る舞い酒(ファンから贈られたという「WINDS」の樽酒)があって、ちょこっといただいてきました。

電車の本数が極端に少なくなってたので(でも走ってくれてただけでありがたかったっす)、自宅に帰り着いたら3時でした。
とても良い年越しをしたと思います。
こんな風に新年を迎えたのは初めてだな(^^)
一時は諦めようと思ったけど、来る事が出来て本当に良かった。
Kにはほんとにいつも御迷惑掛けてます。
おつきあいありがとね。

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