市村正親さんの主演で有名な舞台ですね。
東京公演に先立って新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあというらしい)で3日から5日に行われました。
一昨年も東京芸術劇場で観たのですが、その時とはキャストも何名か変わっていて、また違った感じの舞台になってました。
ストーリーは、ケチでごうつくばりの金貸しスクルージのもとに、昔死んだ相棒のジェイコブ・マーレイがクリスマスイヴにやってきて、三人の精霊を彼のところによこすという。
過去のクリスマスの精霊、現在のクリスマスの精霊、未来のクリスマスの精霊と共に過去・現在・未来を見て来たスクルージが心を入れ替えていい人になって終わり、というのが超簡単にした粗筋です。
スクルージは愛嬌があっていいですよね。最初のけちくさいジジイの時でも行動が面白いんです。
スクルージの、若くして死んだ姉の子供、甥のハリーは今年は戸井勝海さん(一昨年は西川忠志さん)。
戸井さんって「レミゼ」のアンサンブルでしかみたことなくて、あんまり気にした事なかったんですが、今回のハリー、一昨年のハリーに比べてなんか馬鹿っぽい……。
最初のシーンでスクルージの仕事場に来てクリスマスパーティーに招待していくんですが、>そのシーンの彼が何だか馬鹿っぽい印象を受けたんですよ。
他のシーンとか、もう一役の若き日のスクルージ(これは役が違うから当然ですが)ではそんなこと無かったんですが。
過去のクリスマスの精霊は日向薫さん(一昨年は旺なつきさん)。
彼女はスクルージの姉のジェニーで、「どうしてあなたの甥を愛さないの? 彼は私の息子」と自分の正体を最後に明かします。抱き合おうと手を差し伸べたところで時間切れになって消えてしまいます。
この消える時の仕掛けがどうしても判らない………知りたい!
過去の精霊が去った後は、スクルージは心が動かされたものの、今更やり直しが出来るわけがない、自分がこうなったのはわしのせいじゃない、と歌いますが、現在の精霊、未来の精霊が去った後、まだ生きている、今までの人生の埋め合わせはする、これからもう一度始めよう、という希望の歌に変わります。
人生が、人間が自分を嫌うから、クリスマスも人間も人生も嫌いだと言っていた老人が、大好きだよクリスマスが、大好きだよ人間が、と言い、最後には客席に向かって、これで失礼します、家族と一緒にクリスマスを過ごすんです、と言うのです。
愛にあふれた素敵な舞台です。一見の価値あり。
駒田さんはスープ屋のトム・ジェンキンズとジャック・イン・ザ・ボックス、あと名前のない役。
他の人の例に洩れずトム・ジェンキンズもスクルージに借金のある一人。
街の人々の中ではメインになりますね。
未来のシーンでスクルージの棺桶の上で嬉しそーに踊り、棺桶にキスをする彼が鬼畜でステキ。
ジャック・イン・ザ・ボックスは現在の時に出てくるんですが、プリングルスのおもちゃ屋のショーウィンドウに飾られている人形です。おもちゃ達がみんな動いて踊るんですね。
喋らないんですが、動きがいいんですよ。
最後のシーンで、トム・ジェンキンズがサンタの衣装を着たスクルージに、クリスマスプレゼントに借金を帳消しにしてやると言われ、ほっぺたにちゅっとされてひっくり>返ってました。
そのあとで彼もスクルージにちゅっとやってたんですが、これは千秋楽だったからだろうか。それとも今年の演出にはいったのかな。一昨年はなかったけど。
変わった事と言えば、池袋の芸術劇場とは箱が違いますから、舞台の設備が違うんですね。
未来の、スクルージが死んだ後の地獄のシーン、芸術劇場は床が上下するのでマーレイや他の人たちがぐーっと上に上がってスクルージを見下ろす感じになるんですが、どこでもそんなことが出来る訳じゃなし、今回はぐるっと取り囲んで倒れたスクルージを見下ろしてました。
りゅーとぴあはまだ出来てから一周年らしく、新しくて綺麗な劇場です。
ガラス張りで見事。
コンサートホールと劇場と能楽堂があるらしい。
でも新しく劇場を作るなら、もっとトイレの数増やすとかできなかったのかなあ。
トイレに長蛇の列が出来る劇場は好きじゃないんだよなー。
気持ちよく芝居を観るのにこれは大事な事だと思うんですよ、私。