2009.8.13  ブラッド・ブラザーズ

シアタークリエで「ブラッド・ブラザーズ」を観てきました。
これは主演の二人がWキャストで、通常Wキャストって日替わりというか公演回替わりが多いと思うのですが何故かこれは8・9月公演の月でキャストが違っていて、8月キャストが岡田浩暉&武田真治の二人でこれを観たかったんですよ。
ちなみに9月は藤岡正明&田代万里生で、藤岡さんてレミでしか見たことないのですが私彼のマリウスあまり好みでないんですよね。
私の中でベストマリウスは岡田さんのマリウスなのです、もう見られないけど。田代さんは全然見たことない(というか知らなかった)……。
ヴァンパイアの合間を縫って行ってきました。

内容は貧乏子沢山の家に生まれた双子の一人が、母親であるミセス・ジョンストンが働いていた金持ちのミセス・ライオンズに貰われて全く違う境遇で育つ。
二人の母親同士は子供達が会わないように育てるのですが二人は出会い、親友同士に。片方の引っ越しで離れた二人が成長して再び出会い、子供の頃から仲の良かった少女リンダを含め3人で遊びながら成長、けれど現実という荒波の中で二人の間に溝が出来ていく……という話。
ロンドンで25年のロングランを続けている話だそうです。

シアタークリエは一昨年2007年に新しく出来た劇場で、行くのは初めて。
劇場は地下なんですね。知りませんでした。
劇場の規模としては……うーん、東京芸術劇場の小ホールよりは確実に大きいな。中ホールよりは小さい。世田谷パブリックシアター位かな?
ここのところ帝劇でヴァンパイアばかり見ている私には余計コンパクトに見えましたが、これはこれで良いのでしょう。
舞台上手奥にはライオンズ家のきれいな家、上手手前にはオーケストラピット。下手にはジョンストン家の小さな家。床はかなり客席に向けて傾斜しています。歩くの大変そうだ。
ミセス・ジョンストンもWキャストで(こちらは月交代でなくて、公演回で違う)私が見たのは金志賢さん。
ただでさえ子供が多くて夫に捨てられ、その直後に発覚した双子妊娠。やっとライオンズ家での仕事を見つけて、子供が生まれてもなんとかなると思っていたのに双子では生活していけない。
そこに子供がいなくて子供が欲しかったミセス・ライオンズが家をあけている夫にも内緒で(夫は養子はいらないという人だったので)そのうち一人を欲しいと言い出し、流されるように一人を渡す約束をしてしまう。
ライオンズ家で働いていれば手放した子供もずっと見守っていけるという話だった筈なのにミセス・ライオンズは病的に子供に執着し、ミセス・ジョンストンを首にしてしまう。
どうやらイギリスでは双子の兄弟がいることを知らずに別々に育った双子が真実を知ってしまうと二人とも死んでしまうという言い伝えがあるようで、首にするなら警察に訴えると言うミセス・ジョンストンの迷信深さ(テーブルの上に靴を置いてはいけないとか)に付け込むようにミセス・ライオンズは決して誰にも話さないようにと脅す。
けれど偶然出会ったマイケル・ジョンストン(ミッキー/武田真治)とエドワード・ライオンズ(エディ/岡田浩暉)は全く違う、けれど年も誕生日も同じ相手と意気投合、義理の兄弟とまで言って仲良くなる。
両方の手を切って血を流し、それを混ぜ合わせて血の兄弟という、本当の事を知っていたら全く必要のないことまでする幼い二人。
登場時の二人は7歳なんですね。なかなかすごい、似ていない二人です。
薄汚れた悪ガキなミッキーと、半ズボンにベストの出来杉くんみたいなエディ。
引き離され、14歳で再会するまでの二人の歌はなかなか良いです。
互いに自分にないものを求め、相手に憧れている二人。

子供達が色々な遊びをする中でおもちゃの銃や爆弾(に見立てた水の入った風船)などで遊びの中で死んでも「指をクロスにして十数えたらまた生き返る だってこれはただの遊びなんだもん」と両手の人差し指と中指でクロスを作って歌いながら遊ぶシーンがあるのですが、なんとなく、最近のゲーム漬けで死というものを軽く考える(とマスコミで言われるが実際は知らない)子供の話をちょっと思い出しました。

エディが引っ越す時にもう二度と会えないだろうからとミセス・ジョンストンが誰にも内緒でこっそり持たせた小さなミッキーとミセス・ジョンストンの写真を、エディがミッキーと再会する直前の14歳の時に見たライオンズ夫人、エディとミセス・ジョンストンの写真だと思って問いただし、「これはミッキーだよ、どうして僕だなんて思ったの?」とエディは不思議に思うけれど深く追及しようとはしないんですね。
してたらもっと早く真実を知っていたのでしょうけれど。
でも二人が出会うよりもっと前の小さな時はまだ良く似ていたのだということがわかるエピソードです。

再会してから18歳まではリンダと3人仲良く過ごします。
大学に行くため旅立つ前にエディがリンダ(鈴木亜美)に「もしも僕がミッキーだったら愛していると伝えるのに」と歌う様はほんのちょっとマリウスを思い出しました。
「でも言わない、なぜなら僕はミッキーじゃない」本当はエディもリンダを好きだけれどエディはずっと告白出来なかったミッキーをけしかけ、二人を恋人にしてから旅立ちます。
リンダが妊娠して二人は結婚するけれど、不況のあおりでミッキーは職を失います(ミッキーが働いていた工場はライオンズさんの工場なんですかね?)。
クリスマスに帰ってきた能天気なエディを突き放すミッキー。
ミッキーの3つ上の兄サミー(伊藤明賢)は多分兄弟の中で一番悪い子?
最終的には彼のおかげでミッキーは転げ落ちるような転落人生を……。
ラストはネタバレしない方がいいんでしょうか。
双子が死ぬことはチラシにも公式サイトにも「血がつながっていると知った瞬間、命を散らせた双子の物語」と書かれているので事前に判るんですけどね。
実際見ると……うわあ、すごい犬死に(涙)

25年もロングランを続ける程感動的かなとはちょっと疑問に思ってみたりするのですが、ミッキーの転落人生とか、そういう現実が良くわからない能天気な明るさでミッキーを怒らせたお子様なエディは大人になって議員になっているとか、その辺は妙にリアルですねえ。
それにしても主役二人とも若い。実年齢より。

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