2000.2.5・6  MIRACLE

東京芸術劇場中ホールに、イッツフォーリーズのミュージカル、「MIRACLE」を観に行ってきました。
駒田はじめさんが今回ゲストで出演されていたのです。
駒田さんはかつて劇団フォーリーズにいたので、古巣に帰る形でしょうか。

辻仁成さんの「ミラクル」を原作にしています。
生まれると同時に母親を亡くした少年アルは父親のシドに、ママは雪が降ったら帰ってくると前に言われたのを信じていたのですが、ピアニストのシドは冬になるとそれから逃げるように南に子供を連れて移動し、ピアノバーでピアノを弾いています。
アルは彼にしか見えない二人の幽霊と知り合い、友達になります。
それがダダ・ジョナサンこと駒田さんとアントニオ・エラソーニの井上一馬さん。
二人は変わったけばけばした生地の燕尾に帽子という格好で、ダダが濃い青緑っぽい色、エラソーニが赤でした。帽子は切ってカラフルな色で繋いであります。
アルがママを探すのに一緒につきあってくれるのです。

そして雪など降るはずのない南の街に雪が降って……。というお話。

妻を失った事に耐えられなくて酒に逃げ込むピアニストのシドが鶴見辰吾さん、ママがどんなものかも知らないアルがジャズ・シンガーの小林桂さん。
さすがに良い声ですねー。
アルは最初、いつも父親と一緒に街を転々としているからか、友達というものが何なのかも知らない、ママが何をする人なのかも知らない、人見知りの激しい子供だったのですが、二人の幽霊と知り合い、同じようにパパを亡くしてかつては二人の幽霊と友達だったキキという少女と知り合い、最後の最後に大変貌を遂げるのです。
これは、やられたって感じでした。

雪が降って、シドは自分が働いている所のシンガー、ミナに今夜一晩だけアルの母親を演じてくれと頼みます。
ミナはシドが好きになっていて、最初は断るんですよ。
(しかし、酷な頼みをする奴だ……>シド
アルの母親になってくれというならともかく。)
けれど、昔息子に「雪が降ったらママが帰ってくる」と嘘をついたことをシドは打ち明け、ミナはそれを承諾します。

その頃、アルは家でダダとエラソーニと話していて、大人になると二人が見えなくなるのは嫌だなと言いますが、二人は大人になって現実を受け入れるのは悪い事じゃない、アルが二人を見る事が出来なくなっても永遠に友達だよと優しく答えます。
アルは今日雪が降ったからママに会えるんだ、何を話そう、どんな顔をすればいいだろう、色々考えなきゃ。だから二人とも少しだけ僕を一人にしてくれる?
……と二人に言います。
ダダとエラソーニはそれでもう、アルが大人になろうとしている事が判ったんでしょうね。
一瞬沈黙して、「どうしたの?」と聞かれて「どうもしないよ」と部屋を出て行きます。
振り返り振り返り……。
この時の「がんばれよ! アル」というダダの台詞のトーンが、ああ、駒田さんだなあ……って感じ。

このあとシドがミナを連れて帰ってきた後がもう、アル大成長、客席大感動……(;;)
これは是非! 舞台をご覧になっていない方は原作を読んでいただきたいですね。
新潮文庫で辻仁成 著/望月通陽 絵「ミラクル」、最初講談社文庫から出たらしいですから、ひょっとしたらそれでもあるかもしれませんが。
ただ、ちょっと書いてしまうと、アルの年齢がいくつ位の設定なのか、それが良く判らない……。
「友達って何」とか言ってるし、学校行ってないみたいだし。
10歳位なら一体どういう育ち方したんだってことになるけれど、大人が演じているので外見的にひとケタに見えないのがちょっときつい……。
そんなこと言っちゃいけないんだろうけど。
原作にもはっきりとは書いてないんですよね。


中身の細かいとこではダダの「やーん怖い」が好きだなあ(「理想のママゲーム」という曲でそういう部分があった)。
「ミラクル」というのは、シンガーだったアルのママが歌詩を作って、シドが曲を付けたもので、舞台の全面で流れています。
もちろん、南の街で雪が降った事もミラクル。
(「ミラクル」は弾かない、「ミラクル」の話はするなと言い、他の人が「ミラクル」を弾いているとやめさせるくせに、営業中は何故か「ミラクル」を弾いている彼……(^^;)
シドがいると大体「ミラクル」が流れてますが、アルとダダ、エラソーニがいると色々な歌があって楽しいです。
ママは何をする人かと聞かれ、ママは何でも許してくれる人だと歌う二人。
アルが街中の女の人に「おばさんは僕を許してくれる?」と聞き回り、問題を起こした後、シドに「ママは僕を許してくれる」かと聞いて「最初は叱るけれど最後には許してくれる」とシドに言われて「理想のママゲーム」をして幽霊たちと三人で遊んだりします。

「天狼星」というお芝居の時にシリウス様の部下で黒い役をやっていた野口さんが今回ADでコミカルに演じていたのが何か目新しかったです。
スノーマシンに八つ当たりをして、でもそれに何かあると自分が首になるので「ごめんね」と撫でてみたりする。

最後に、アルはダダとエラソーニの姿を見る事が出来なくなってしまいますが、「いつか私達の声も聞こえなくなってしまうだろう」それでも「友達だよ」と二人は言うのです。
大人になったアルのことを喜んで、満足そうな笑顔で。
もう泣くしかない……。

現実を受け入れること、これは父親のシドと息子のアルと、二人が学んだ事ですね。
考え深いです。

そういえば、5日の夜の公演の時、静かーなシーンで携帯の着メロが流れました(怒)。
誰だよー、電源切ってない奴! ふざけるなー!!!
劇場では携帯切りましょうね。最低限のマナーは守りましょう。

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