2000.4.8・21&5.14・17・28  ラ・マンチャの男

日生劇場に「ラ・マンチャの男」を観に行って来ました(期間中5回)。
大好きな舞台なんです。
去年の夏に青山劇場でやった時とキャストは大体同じです(アントニアが松たか子さんから松本紀保さんになりましたが)。


これは複雑な内容の話で、最初は宗教裁判を受ける為にセルバンテスが牢に入れられるところから始まります。
そして牢の中で囚人達によるセルバンテスの裁判が始まり、その弁明をセルバンテスが即興劇で行うのですが、彼が演じるのがアロンソ・キハーノという老人。
キハーノは自分を騎士だと思い込み、ドン・キホーテを名乗ってサンチョを従えて旅に出ます。
一つの舞台の中で構造が三重に重なったお芝居ですね。

ドン・キホーテは大魔王と思い込んで風車に戦いを挑み、あっさり負けて(直前に風車に変わったと言い張った)、大魔王が自分を相手にしないのは自分が正式に騎士の称号を授与されていないからだと結論し、それができる人(王様とか公爵)を探す事にします。
で、そこに城を発見(本当は宿屋)。
宿屋に行き、そこにいたアルドンサを思い姫ドルシネアと思い込みます。
アルドンサは他のラバ追いなどとは違った扱いをするドン・キホーテに戸惑いながらちょっと心を開きかけたんですが、ラバ追い達に寄ってたかって強姦されて、ラバ追い達と一緒に宿屋を出て行ってしまいます。
ドン・キホーテは宿屋を出て旅を続けたものの、道中ムーア人に持ち物も有り金も全部取られて宿屋に戻って来て、そこでドン・キホーテ(アロンソ・キハーノ)の姪であるアントニアの婚約者・カラスコ博士の策略で正気に返らされてしまい、家に戻って瀕死の床に。
アルドンサがキハーノに必死で呼びかけて、キハーノはドン・キホーテを甦らせるのですが、結局死んでしまうのですね。
さんざんドン・キホーテに自分の名はアルドンサだと言って本当の自分を見てくれと言っていたアルドンサが最後に「あたしの名はドルシネア」と言う所で劇中劇は終わり、セルバンテスは宗教裁判を受けるべく牢を出て行きます。
……以上、超簡略化したあらすじでした。


駒田さんは今回床屋とムーア人、そして一か所だけロバを演じてらっしゃいます。
牢屋の場面の時は道具渡しなんてやってました。
茶色の服にちょっと緑がかった色の布を斜めに掛けて腰で結んでて、ああ、でもやっぱり牢屋のシーンは暗くてちょっと見にくい。

床屋はひげそり用の鉢を頭に被って登場するのですが、ドン・キホーテはそれを「黄金の兜」だと言って譲らず、それをよこせと言って取り上げてしまいます。
自分はしがない床屋だと一生懸命主張する彼の「トコヤ」の人文字が楽しくて好きです。
最初抵抗していた床屋も、後で兜ではなくただのひげそり用の鉢だとドン・キホーテが理解しても髭を剃る時には役に立つ、とサンチョに言われて納得し、にっこり笑ってそれを提供するのでした。
ドン・キホーテの背後でカラスコ博士やサンチョに何やら言っているのは、鉢の代金を請求しているのでしょうか。違うかもしれませんが。
床屋のシーン、ドン・キホーテに足蹴にされたりもしてますが、楽しそうな笑顔が何とも言えません(^^)
こっちまで幸せになります。
去年の公演の時よりもふわっと柔らかそうな髪になっていて可愛い。

ムーア人の時の駒田さんも野卑というか卑猥というか、床屋の時とは全然違っていて楽しい。
サンチョが肩から掛けている布とサンチョの帽子を去り際にさりげなく奪って逃げていくのでした。

去年はやっていなかったのですが、今年はロバをワンシーンだけ駒田さんがやっています。
床屋になる前は駒田さん、ラバ追いのホセとロバを演じていたので、ロバは復活。
やっぱり可愛いですよね、ウマ・ロバのコンビ。
寝る時に自分が頭をのせるところをふきふきしてから寝ころぶロバが可愛くて(^^)

他だとアルドンサに意識を集中していると精神的に痛いので、注目点を分散させるようにしていたのですが、神父役の石鍋多加史さん、いいなあ。
落ち着きの無い囚人が神父の衣装を着て、すっと威厳ある神父様に変わる所はいつも笑わせてくれます。
「自分だけのドルシネア」、ドン・キホーテが死んだ時に捧げる「聖歌」が凄くいいですね。今年の公演の私にとってのヒット。
登場時、アントニア・家政婦と一緒のシーンがあるのですが、初めて今年の公演を観た時、去年までのアントニア役の松たかこさんと松本紀保さんと、あまりに声の高さが違うので驚きました。
松本紀保さんの方が大分低かったんですよ。
「うわー、すごく低いなあ」と思って、松たか子さんの声に慣れていた私は非常に違和感があったのですが、そう感じたのは一回目だけでした。
二回目に観た時はそこまで低いとは感じなくて、紀保さんが音程変えたのかな、それとも単に私の耳が慣れただけなのでしょうか。

心に残る台詞はドン・キホーテの「事実とは真実の敵なり」。
それとセルバンテスの「一番憎むべき狂気とは、あるがままの人生にただ折り合いをつけてしまって、あるべき姿のために戦わないことだ!」。
他にも色々あるんですが、最初に思いつくのはこの二つでしょうか。

この舞台、来年の2月にまた日生劇場で公演されるそうです。
一度も観た事のない方は是非行ってみてくださいね。
絶対に損はしません。

追記。
やっぱり携帯をならす人はまだいます。
同じ日に二回も音が鳴り響いた時は本当に頭に来ましたね(しかもディズニー)。
誰のためにも(自分のためにも)ならないので携帯・ポケベル(ほとんど死滅しているが)・時計は音が鳴らないようにしておきましょう。

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